未来の書庫 青春の砦

青春の砦 大谷直人

清水高等商船学校建物配置計画図 吉野分隊長

プロローグ

ここに、清水高等商船学校分隊長、吉野春生少尉の写真があります。

吉野少尉は、太平洋戦争真っただ中の昭和18年4月、神戸高等商船学校出の予備士官として、新たに開校した清水高等商船学校第十二分隊に配属され、分隊長として商船学校の教官に着任しました。最年少の分隊長で年齢は23、4歳であったと思われます。商船学校の先輩でもある彼は、人間味豊かな人柄から生徒達の信頼を集め慕われていました。その人となりは、当校の一期生牛山通男氏(故人)の「おじいさんの古手帳」などにも描かれています。

太平洋戦争末期の頃、吉野少佐――戦争末期には少佐に昇進しています――は、海軍の命により海防艦「屋久」の航海長として召集されました。そして屋久は、昭和20年2月23日、輸送船「永昭丸」の護衛についてインドシナ半島バレラ岬沖を航行中、米潜水艦ハンマーヘッドに発見され、同艦から発射された魚雷が命中し沈没したといわれています。そのとき航海長の任に就いていた吉野少佐は、「屋久」とともに帰らぬ人となったのです。

吉野少佐の非業の最後を悼んで書き下ろされた、一冊の小説があります。題名は『青春の砦』。作者大谷直人(本名、小沢郁郎)も一期生として清水高等商船学校に入学、半年後のクラス編成で第五分隊員となり、十二分隊から異動した吉野分隊長と出会ったとされます。作者は高校教師の傍ら自らペンを執り、この小説を書上げました。

戦後70年を過ぎて、吉野春生を知る人も清水高等商船学校を知る人も年々少なくなっていきます。作者小沢郁郎とその背景となった時代の記憶も薄れていきます。「未来の書庫」はこの薄れゆく記憶を明日に留めたいとの願いから、小説『青春の砦』電子版を公開しました。多くの方々にご覧いただければ幸いです。


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(おことわり)
 本作品は「青春の砦」(C)Naoto Otani 1979(新潮社 1979年10月20日刊)を底本として、「未来の書庫」に電子書籍として収録したものです。
 収録するにあたり、底本にいくつかの変更を加えました。仮名遣いは原則として原文のままとしましたが、出版当時は使われていて現在はあまり用いられていない一部の漢字を新漢字に改めたほか、一冊の底本を上下二巻に分冊しました。
  また、本文中には現在とは異なる地名や、部分的には差別的な表現と受け取られかねない記述もあります。これらの記述は作品の背景となった当時の事情を考慮し原文のままとしたもので、表現についても差別的な意図などがないことをご理解いただきますようお願い申し上げます。
 なお、底本の電子化に際しましては、筆者(故人)のご家族様の承諾を得てここにめでたく開板の運びとなりました。快く承諾をいただきましたご家族様のご厚意に深く感謝いたします。

■著者プロフィール


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 ●都立高校教師時代の著者小沢郁郎(1967年頃)
都立高校教師時代の著者小沢郁郎
 (都立千歳高校、現芦花高校正門前にて撮影)



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